Small Things

感じたこと、考えたこと

コロナの時代の一人飲み

コロナ危機が始まって4ヶ月が過ぎ、外出自粛も解除の方向に進んでいる。そこで居酒屋やバーでの一人飲みも再開出来るのだろうか。

日本人の真面目さからなのか、法律で縛らなくても外出自粛の効果が表れてきており、いよいよ飲食店を始めとする自粛・休業の状況から社会経済が動き出そうとしている。ただあくまでも指標となるのは毎日発表される新たな感染者数が中心であり、重症患者数、入院患者数、感染経路不明数等で判断していくのだろう。抗体保有者数や実効再生産数も指標に加え、一定の基準を設けて徐々に解除を行っていくのが、国や都道府県における方針なのだと思う。

ただ、今までのような外出自粛策によって感染拡大は抑えられてきたが、自粛が解除されたあとはもう感染者は増えていかないのだろうか。いや、自粛解除を行えばまた感染者は増えていく可能性は十分にある。皆敢えて口には出さないけれど、自粛解除と共に感染者数はどこかでまた増えていくかもしれないと、誰もが思っているのではないだろうか。

ただ、またそうなったらそうなったで、政府は再度緊急事態宣言なり自粛・休業要請を行っていくだろうし、また落ち着いてきたら緩和していく、そしてまた感染者数が増えてきたら外出自粛・休業要請を行い、また解除、と繰り返していきそうだ。それはこの先2年なのか3年なのか、5年なのか6年なのか、それはもう誰にも分からないのだけど、かなり長期になるのだろうな、という覚悟を持ちつつある。

そして先週、今週と外出自粛の解除が確実に進んでいる。街の居酒屋やバーも再開に向けて動き出している。もともと居酒屋で一人で飲むことが日常の一部だったこともあり、その環境が戻ってくること自体は嬉しい。ただそれは今までと同じような形で戻ってくるのだろうか。あのギューギューの立ち飲みで「ダークダックス状態」を余儀なくされるような飲み方が戻ってくるのだろうか。カウンターに一人座って酒を飲みながら主人と他愛もない話をしたり、世界ビックリ事件のようなテレビ番組を見ながら笑ったりする日々はまた来るのだろうか。

もちろん七津屋、ニュー浅草のように今まで通りの勢いそのままに営業している店はあるのだけど、やはりダークダックス状態の店に入っていく勇気が出ない感じがしている。これから自粛と解除が数年間続いていくと思われる中で、以前の居酒屋のような賑わいの中に飛び込んでいくことに、ちゅうちょしてしまう感じがするのだ。

外食産業の業界団体によるガイドラインでは、混雑した時には入店制限を行うこと、最低1mの間隔をあけて横並びで座れるようにすること、他のグループの客との相席を避けること、などの指針はあるようだけど、それはあくまで努力目標レベルである。客側としてはマスクをして、ハンドジェルを携帯し、食べたり飲んだりする時は話さない、食べも飲みもしていない時はマスクをする(のだろうか)。一人飲みの時の主人や女将との会話も最小限か話さないか...これからはこんな感じになっていくのだろうか。

このような状況だと、今までのように家で晩酌でいいのでは?ということになってしまう。町は自粛や休業が解除されていく中で、一人晩酌するのでもAmazon、Netflix、AbemaTVトーナメントが有ればなんとかなるのだけど、やっぱり居酒屋やバーには飲みに行きたいのだ。基本的に人はあまり変化を求めない。さすがに今回のコロナ危機では生活様式そのものがかなり変化し、一時的にいろいろな制限があったものの、最終的には今まで通りの生活に戻っていくような感じもしている。そして居酒屋に行くという事は人に会いたいから行くいうことも大きい。たまには群衆の中の孤独を味わい時もあるのだけど、やっぱり主人に会いたい、女将に会いたい、常連達に会いたいのだ。結局人は、人と人とのつながりを求めている。この自粛、自粛の中で、人と人とのつながりを求めているからこそ、オンライン飲み会が行われてきたのだと感じている。

ただ、緊急事態宣言が解除されても夜に出歩くのが心配なのも事実である。だとしたら「開店と同時」に居酒屋に行く。「開店と同時」にのれんをくぐる。もうこれしか無いような気がしてきた。そしてカウンターに座って瓶ビールを注文し、お通しをつまみながら今日のメニュー構成を考える。まずは定番か旬のものを注文して、そこからここに流れて、最後はこれで締めようと、ある程度のストーリーを考えて、数ヶ月ぶりの一人飲みを組み立てていく。ただ、店が混んできたらお会計をする。これは昔も今もそうで、他のお客さんが入店してきたら入れ替わる。そうしてるうちに二軒目の店がオープンする。

こうして開店と同時にインしていくことを妄想している。いや、実際このコロナの時代にそれが実現可能なのかはわからない。感染リスクを考えれば非現実的かもしれないし、夜の外食自粛は当分続くのかもしれない。そして外で酒を飲むこと自体が不要不急の外出と言われるのかもしれない。でもまた一人飲みができる日がくることを楽しみに待ちながら、一人妄想したいのだ。

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