
Becca Stevens - Regina (2017)
ノースカロライナ州ウィンストン・セーラム生まれで、ニューヨークのジャズ・シーンを拠点とするベッカ・スティーヴンス。
エスペランサ・スポルディングの作品や、ビリー・チャイルズによるローラ・ニーロ再解釈盤『Map to the Treasure』に参加していた人だと言えば、ピンとくる人もいるだろう。
これが自身名義の4作目で、聴き終えたあとにしばらく言葉が出なかった。
軸にあるのはチャランゴやギター、ウクレレを爪弾く彼女自身の演奏だ。
そこにアタッカ弦楽四重奏や打ち込みのビート、スナーキー・パピーの面々が重なり、サウンドはこれまでになく壮麗になった。
それでも響きは装飾に流れない。
アパラチアのフォークに根を持つメロディーが、ジャズの軋むような和声の上で思いがけない方向へ曲がっていき、どの曲もどこか芯が硬い。
発端は14年にジャズ・ギャラリーから受けた委嘱で、エリザベス1世を題材にしたところから、さまざまな女王や架空の女性「レジーナ」へとテーマが広がっていったという。
シェイクスピアの台詞をそのまま歌詞にした曲もあれば、フレディ・マーキュリーの言葉を借りた曲もある。
唯一のカヴァーはスティーヴィー・ワンダーの「As」で、ジェイコブ・コリアーと共演している。
知的な構想を持ちながら、歌は少しも頭でっかちではない。
ジョニ・ミッチェルが『Hejira』の頃に見せた、和声と言葉の自由なやり取りの遠い末裔にも思える。









