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感じたこと、考えたこと

第5期叡王戦 七番勝負 第5局における解説の素晴らしさ 佐藤天彦九段 高見泰地七段

4連休の初日は、第5期叡王戦七番勝負、第5局を観ていた。

基本的に「観る将」(自分では将棋を指さずプロ棋士の対局の観戦を楽しむ人)である。将棋は子供のころから指してはいたが、まったく強くはならなかった。でも週刊将棋、将棋世界、近代将棋を愛読していたぐらいには将棋が好きだった。

よって今から将棋を覚え直しても絶対に強くならないという変な自信があり、現在は完全に「観る将」としてAbemaTVやニコニコにおける将棋中継を楽しんでいる。

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ニコニコ将棋チャンネルで中継されていた第5期叡王戦七番勝負 第5局。この日は佐藤天彦(さとう あまひこ)九段と高見泰地(たかみ たいち)七段の魅力あふれる解説に惹きつけられた。

もちろん永瀬拓矢叡王(叡王・王座)と豊島将之竜王・名人の類型のない陣形での熱戦によるところも大きく、1日中じっくりと真剣に、時には笑いながら楽しく観戦することができた。

やはり指し手、読み筋に対する説明がとても分かりやすく、そして楽しく話される佐藤天彦九段と高見泰地七段のトークがとても良かったと思う。

高見泰地七段は以前からニコニコやAbemaTVで解説されることも多く、その安定感のあるていねいな解説はいつも楽しみだ。たかみーと愛称で呼んでしまう親しみやすさもあり、ずっと応援している棋士の一人である。

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ただ佐藤天彦九段が解説者というイメージが湧かなかった。佐藤天彦九段は前名人であり、第74期(2016年)から75~76期と2度防衛も果たしており、竜王戦 1組、順位戦 A級と名実ともに一流棋士である。

そして棋士仲間でのあだ名は「貴族」。クラシック音楽、ぬいぐるみ、宇宙戦艦ヤマト、ファッションが好きという趣味にも親しみがあり、ネットでの人気も高い。

そして第5期叡王戦 七番勝負 第5局における佐藤天彦九段の解説は本当に素晴らしかった。とにかく話が面白く、的確で分かりやすい。

加えて語彙力豊富でとにかく楽しいのだ。言葉のチョイスもスマートであり、これはモテる!と話し方を研究して、佐藤天彦九段の真似をしようかと思ってしまったほどである。もう天彦先生に夢中である。

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最後は晩酌しながらの観戦となり、飲みながらiPadを真剣に見入るという感じだった。千日手もあるやなしやで、また長くなると思われた熱戦も意外と早めに終局して、感想戦に至るまで観ることができた。

そして今回はスタジオから解説・佐藤天彦 九段、聞き手・安食総子(あじき ふさこ)女流初段、そしてリモートから高見泰地 七段、貞升南(さだます みなみ)女流初段というメンバー構成。とても素晴らしかったと思う。

高見泰地七段のどことなく自虐的なギャグ風を散りばめた面白さと、聞き手お二人の控えめながらも二人の棋士をしっかりと盛り立てる安食女流(あじあじ)と、貞升女流(みなみちゃん)の解説・聞き手の素晴らしさは群を抜いていると感じる。

高見七段がローソンで「からあげくん」を買うことに恥ずかしがったり(たかみーが「からあげくん」という言葉を発すること自体がとても恥ずかしいと言うことが、みなみちゃんにまったく理解されないというくだり)、天彦九段から放たれる「強制パージ」等の軽やかな英語交じりの表現等、将棋以外のところでもこんなにも面白く見せてくれることが将棋中継を観てしまう魅力なのだと思う。

将棋中継は対局者の熱戦に加えて、解説者そして聞き手の魅力が中継の印象に大きくかかわってくる感じがする。またいつか佐藤天彦九段と高見泰地七段の解説、そしてあじあじとみなみちゃんによる聞き手の中継を楽しみに、いま天彦先生の居飛車穴熊必勝ガイドを読んでます。

 

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