雨の日は「どの本を持っていこうか」と悩む。
本は濡れたらその生涯を終える。そんな気がしている。紙の本が濡れてしまったら、そのウォーターダメージを一生背負って生きていかねばならないのである。
紙の本においてはウォーターダメージは直らない、ゆがみは直らない、小口の汚れは直らない、日焼けも直らない。もうすべてが直らない。
その点Kindleで読む本は何も気にする必要がない。小口の研磨跡も気にならない。そもそも小口が無いのだから。
研磨と言えば、未だに小口の研磨跡を気にしているのは自分だけかもしれないと思うようになった。本屋で文庫本を手にとると新刊以外ほぼ研磨されている。新刊でさえも研磨跡があり、もう訳が分からない。
やはり世の人は小口の汚れよりも研磨された小口の本を選ぶのだろう。どんなに日焼けしていても、汚れていても、研磨されていない小口が素晴らしいと思う人なのだけど。
昨日は雨だった。午後には止む予報だったのに、ずっと振り続けていた。途中から雷も鳴り、なんだか荒れた天気だった。
ただ「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」を観に行くため、雨であろうと朝から出かける必要があった。その時、今日持っていく本はどうしようかと思った。
雨である。比較的本格的な雨だ。よって今読んでいる新刊本はやめておこう。もし濡れることを想定すると、濡れてもいい本がいい。
濡れてもいい本というと聞こえは良くないが、なぜか2冊持ってる本、中古で買った本、そろそろ資源ごみに出そうと思っていた本などがあてはまる。
いやいやKindleで読めばいいでしょとなるのも理解している。実際Kindle Paperwhiteは持っていくのだし。
ならそれだけでいいとなるが、いや、なんとなく紙の本も持っていきたいのだ。特に冬は上着のポケットに何かしらの本を入れておきたいのである。
その日はアーサー・ヘイリーの「ホテル」とケン ブルーウンの「酔いどれに悪人なし 」を持っていくことにした。なぜ2冊になったのか。それは最後まで1冊に選べなかったからである。
そしてなぜか両方とも予備の本を(すなわちそれぞれ2冊づつ)持っている。ただ2冊とも絶版本なので安易に濡らす訳にもいかない。
革のブックカバーも愛用しているが雨の日はそれも持ち歩けない。よって紙のブックカバーをかけて 「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」を観に行った。
そしてこの日は2冊とも読まずに帰ってきた。そんなもんである。