Small Things

感じたこと、考えたこと

かき揚げで晩酌する

かき揚げが好きだ。

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店でかき揚げを見つけると「おっ、あるある」と思う。そしてこんな感じのエビ、イカ、小柱の3点を見つけてしまうと思わず手が伸びてしまう。

かき揚げというのは寄せ集めが基本である。主となるモノが特にいるわけではない。そこで店の人は考える。野菜のかき揚げだと弱いかな、と思う。確かに買う側としても「ふーん、野菜のかき揚げね」と、鼻っから馬鹿にしている感じがする。

いや、基本的に美味しいのだけど、主たる大物がいないということは、ただのかき揚げなのだ。だからこそ主となるメインを考える。その結果がこの、エビ、イカ、小柱それぞれを主としたかき揚げなのてある。いや、全部入れてくれよとも思う。でもかき揚げの主となる具材は一点でいいのである。

たまに「玉ねぎのかき揚げ」として売られているものがあるが、えっ、それがメインなのか、と思うことがある。ただ「桜エビのかき揚げ」となるとなぜかグッとくる。なぜかサクラエビという語感に弱い。その時点でもう絶対に美味しそうな響きなのがサクラエビなのである。「枝豆のかき揚げ」となるとふーんと思う。エダマメという響きにはふーんとしか感じない。かき揚げにエダマメかーとさえ思う。この言葉の響きによる微妙な心の動きをこれからも大切にしていきたい。

ただ夏の居酒屋メニューに登場する「とうもろこしのかき揚げ」だけは別格である。その地位は野菜カテゴリーの中では郡を抜き、魚介組の代表であるエビをも抜く勢いである。メニューに「とうもろこしのかき揚げ」という文字を見つけた瞬間「おー」と声が出るのはとうもろこしだけである。

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さて晩酌としてのかき揚げに戻る。主人(あるじ)をエビ、イカ、小柱としたこのかき揚げ3点というアイデアは賞賛に値するのではないだろうか。そして小さいのがいい。そもそも普通のかき揚げのサイズは晩酌には大きすぎる。かき揚げ蕎麦には通常サイズのかき揚げが丁度いいが、晩酌用にはこのミニサイズかぴったりくる。

店でお惣菜として買ってくるため、温めてから食べる。それはいつものフライの温め方と同じ温め方で問題ない。温め直したかき揚げには醤油が合う。揚げたてであれば塩でもいいが、温め直しは醤油を少しづつたらしながら食べたくなる。たまにかき揚げを冷たいまま食べる時もある。それはそれで自虐要素を強くし、敢えて孤独を演出したりする。冷たいかき揚げには孤独がよく似合う。人間は孤独である。でも今日はかき揚げがある。そう感じながら涙を流し、かき揚げをつまみ、酒を飲むのである。

天ぷら屋のランチでかき揚げ丼を選ぶこともある。普通の天丼や海老天丼ではなく、敢えてかき揚げ丼を注文してしまう。その心理は自分でもよく分からないが、単品のエビ、イカ、野菜の天ぷらよりも、小さく切った魚介類や野菜を小麦粉を溶いた衣でまとめて、油で揚げた天ぷらの方を欲するのである。それはかき揚げの集合体としての美味しさが素晴らしいからだ。

エビの天ぷら、イカの天ぷら、確かにうまい。ただかき揚げという集合体としての愛おしさ、このギュッとしている愛らしさ、魚介類や野菜が小麦粉の衣を通じて一体となり、個々では表現しきれない美味しさを作り上げていく。

そんなかき揚げが、やっぱり好きだ。

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