Small Things

感じたこと、考えたこと

毎日ジャズの名盤を聴くという不思議な日常が続いている

今年は「ジャズの名盤を聴く」という目標をたてた。

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 今のところ自分でも意外というか、頑張ってるというか、いや自然体というか、とにかく毎日ジャズの名盤と言われているアルバムを聴いている。音楽なんてその日の気分でOfficial髭男dismやKing Gnuを始めとするチャートを賑わしている曲中心に聴いていくことが自然な感じもするし、チャートを追っていくのも個人的には好きなのだ。ただジャズの名盤を聴くと決めたからには「聴くぞ」と思って実行していくしかなく、それはそれでなんだか不思議な日常である。

多くの人に愛され続け、時代を超え、いまでも聴かれ続けている名盤には、本質的な何かがあるのだと思っている。ちょっとだけ名盤をかじっただけでは名盤の威力や本質など到底理解できないのだけど、その名盤の背景にある様々なドラマを知り、これからもずっと何度となく聴いていく事で、なぜ名盤なのか、なぜ名盤と言われているのか、という問いに少しでも近づけたらと思っている。それが5年後なのか10年後なのかは分からないが。

当初は月ごとに数枚選んでそれだけを集中的に聴いていこうと思っていたが、さすがに途中から割り込んでくるアルバムもある。それはジャズを聴くのと同時にジャズのディスクガイド本も読んでいるからであり、急にグラント・グリーンのStop & Listenやベイビー・フェイス・ウィレットのFace to Faceが入り込んでくる。それはそれで面白い。

でも基本は最初に選んだ4枚を毎日聴くことにしている。朝の通勤時に2枚、帰りの通勤時に2枚を聴く。まず以下の4枚を選んだ。

  • Sonny Clark: Cool Struttin' (Blue Note)
  • Sonny Rollins: Saxophone Colossus (Prestige)
  • John Coltrane: Blue Train (Blue Note)
  • Art Blakey And The Jazz Messengers: Moanin’ (Blue Note)

朝、家を出たらソニー・クラークのCool Struttin'を流す。朝なのでファンキーな曲がいいのかもしれないが、この少し眠い朝だからこそ、速くもなく遅くもないCool Struttin'という曲のテンポが耳に優しく溶け込んでくる。そのメロディがとても魅力的に感じる。続くBlue Minorという曲がまた素晴らしい。とにかく冒頭から1,2分の間にこの曲の全てが凝縮されている。マイルス作のSippin' At Bellsを経てDeep Nightがまた凄い。素晴らしいとか凄いとかばっかりの感想になるが、毎日聴いても飽きないもんだなーと思う。

 一応Cool Struttin'のボーナストラックは再生せずに、ソニー・ロリンズのSaxophone Colossusを流す。おぉーこれが耳タコになると言われているSt. Thomasか、と少し感動する。でも毎日聴いても嫌味がないというか、この明るさとおおらかさは朝に聴くと気持ちが上がってくるのは確か。次のYou Don't Know What Love Isで少し落ち着くものの、Strode RodeからMoritatの流れはほんと素晴らしい。でもラストのBlue 7を聴く前に会社に着いてしまう。よってBlue 7だけ印象に残ってないという事が起きる。

 ジョン・コルトレーンのBlue Trainもとても良い。リー・モーガン、コルトレーン、カーティス・フラーの3管アレンジが実に素晴らしいハードバップの傑作。コルトレーンはブルーノートにはこれ1枚だけというのがなんとも貴重だし、このアルバムが良すぎるので、ここから難しそうなコルトレーンに入っていくべきなのか(いや、いかなくてはいけないのだが)迷っている。まずはBalladsか、いやここで一気に至上の愛やSelflessnessと踏み込んでいきたくもなる。

アート・ブレイキーのMoanin'はベニー・ゴルソンのテナー、リー・モーガンの黒く土臭いファンキージャズがとにかくカッコいい。朝一番で聴くこともある。

上記4枚をローテーションで聴いているが、ここに割り込んでくるアルバムはこの1枚。

  • Horace Silver Quintet: Doin' the Thing (Blue Note)

 ホレス・シルヴァーのライヴ盤。全曲がシルヴァーのオリジナル。もうね、このシルヴァーの鳴り止むことのないファンキーよりさらに上をいくグルーヴのうねり、そして楽曲の素晴らしさ。シルヴァーのMCがちょっとアレな感じもするが、シルヴァーの鍵盤を叩きつけるピアノがとにかく最高である。しかし昔の音源なのに音が良すぎるのはなぜなんだ。

 最初はすこし無理して聴き始めたジャズ名盤。それが少しづつ自然と日常に入り込んできたのが自分でも不思議な感じがする。今はその不思議を通り越して、特に聴くぞ、と意識する事なく毎日ジャズを聴いている。今年のSpotifyの個人の年間ランキングにジャズがずらっと並ぶのが今からちょっと楽しみだ。

ブルー・トレイン+3

ブルー・トレイン+3

  • アーティスト:ジョン・コルトレーン
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
  • 発売日: 2016/09/28
  • メディア: CD
 
ドゥーイン・ザ・シング+2

ドゥーイン・ザ・シング+2

  • アーティスト:ホレス・シルヴァー
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2008/08/20
  • メディア: CD