Small Things

感じたこと、考えたこと

湯豆腐と玉子焼きは「やさしさ」に包まれている

先日以前から気になっていた居酒屋に予約して行った。

ただコースを必ず注文しなくてはいけないらしい。ここで少しピンときたのだが、一度は行きたかった店だったので、コースの中でも一番安いコースをお願いして、追加でアラカルトを注文しようと思って6品ぐらいの小鉢料理がつくコースを予約した。

それと予約時も当日も言われたことがある。「すべての料理をひとりでつくっているため、ご追加のご注文はとても時間がかかることがほとんどです。追加オーダーをご検討の場合、出来るだけお早めのご注文をおすすめいたします。」と念を押されたことだ。板長さん一人の店って結構あると思うのだけど、ここでも少しピンときた。ピンと来たということは、何かを感じ取ったということであり、それはなんとなくいやな予感がしたということである。

コース必須、そして追加オーダーはとても時間がかかる、この二点でその店は自分には合わないかもな、今回はやめておこうかな、そこまで冒険する必要も無いしな、という普通の流れで決断すればよかったのだと思う。結局コースの途中で追加オーダーをするのも気が引けてしまい、コース後半で追加をたのんだら1時間と言われたこともあり、基本コースの小鉢6品と生ビールと燗酒1合で店を出た。やっぱり自分は判断が甘くて弱いな、と自責の念にさいなまれた。 

なにかを感じ取ったらその時点で判断して方向転換をするか、リスクはあるかもしれないが初心を貫徹するか、その決断が昔からなのか、歳をとったゆえなのか、弱すぎると感じる。そして不満が募る。よって馴染みの店に行く。なので新規開拓から遠のく。 負のスパイラルすぎる。

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その店を出てから近くの蕎麦屋らしい店に入った。つまみも充実しており隣のテーブルは両隣とも鴨鍋という少し変わった蕎麦屋だ。本日のお肴という紙に「湯豆腐」という文字を真っ先に見つけた。あとは「玉子焼き1000円(お時間を頂きます)」とあった。また時間がかかるのか、と思って店員さんに聞いてみると、今はオーダーがないため比較的早めに出して頂けるとのこと。良かった。

燗酒を飲みながらゆったりとした時間を過ごしていると玉子焼きがきた。そしてこの予想を超える玉子焼きの素晴らしさよ。心置きなく酒が楽しめる完全なる玉子焼き。ふわふわである。酒飲みはたまごが好きだ。それはたまご料理には常にやさしさがあるように感じるからだ。

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そして湯豆腐がきた。

店で食べる湯豆腐は湯加減も薬味もつゆもすべて板前さん任せ。だから、これはうまい、という湯豆腐に出会った時の喜びはなおのこと大きいのだ。そして今回は赤い器を見た時からなぜかこれは間違いないと感じた。

実に正統派湯豆腐でありながら、豆腐の固さ、温かさ、そして洒落た器と豆腐すくい、すべてが素晴らしかった。もちろん湯豆腐はおいしかった。薬味は最低限で、生醤油で頂く木綿豆腐。人は湯豆腐を楽しんでいる時に悪いことは考えたりしないと思うし、玉子焼きもまたしかり。とにかく和む。

ふとこの日の最初の店での出来事を思い出した。あらかじめ時間がかかることも分かっていたし、自分の振る舞いがよくなかったかもしれないと思い直した。そしてまた今度行ってみようと思った。そんな事を考えながら湯豆腐と玉子焼きをつまみに飲み続けた。この日は少し飲みすぎた感じがした。

 

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