缶詰をつまみに晩酌をする。
あまり人に言えない嗜好である。缶詰というと非常食・保存食というイメージが強いが、シーチキンやトマト缶などは普通に日常の中で食べている。ただ缶詰をつまみに飲むとなると一気に「えっ、なんで」となる。いやいや缶詰をつまみながら飲んだって別にいいでしょ、とは思うが、まぁ人前で主張するのも少しめんどうなので黙っておくのが得策である。
缶詰と言っても竹中缶詰、明治屋、K&Kは高級すぎてなかなか手が出ない。ここはやっぱり高くても150円ぐらいまでの缶詰でちびちびやりたくなる。そんな自虐趣味がちょっと好きなのだ。
中でもやきとりの缶詰をつまみながら、日本酒を飲むのが好きだ。
焼き鳥をアレンジして調理をするとかではなく、そのままつまむ。チンしてもいいのだけど、冷たいままでもいい。そのまま食べる、それがとても気に入っていており、切らすことなく常備している。今はコンビニでも焼き鳥は普通に手に入る。家で晩酌をする時、コンビニやスーパーで買ってきた焼き鳥をあたり前のようにつまむことも出来る。でも缶詰のやきとりだって食べたくなる時があるのだ。
以前スーパーで見かけた「白鶴 生貯蔵酒」にホテイのやきとりの缶詰がおまけに付いてきた。これだ、と何かを感じた。やきとりの缶詰と言えば定番の「たれ」味でありかなり昔から食べ続けている。これが飽きない、まったく飽きがこない。ホテイのやきとりの缶詰は、たれ味の他にも、塩味、うま辛味、ガーリックペッパー味、柚子こしょう味といろいろあるが、やっぱり最後は「たれ味」に戻ってくる。
そしてこの「やきとり たれ味」は1970年に発売されて以来、2020年で50周年を迎えるようだ。2019年にJAXAの宇宙日本食に認証されたことでJAXA『宇宙日本食』ロゴ入り商品も発売されるみたいだ。こうなったらもう是が非でも限定品を手に入れるしかない。
上の写真のホテイの缶詰たれ味はスーパーで購入したものであり、固形量70g、内容総量90gと記載されている。ここはやはり内容総量90gのものを入手したい。奥の緑の缶詰は「やきとり 柚子こしょう味」だが固形量55g、内容総量70gと愕然とする少なさである。やっぱり内容総量90gのたれ味がデフォルトである。
やきとりの缶詰は100円ローソンでも買うことが出来る。最近は100円以上の缶詰も売られているが、このやきとりの缶詰はローソンのバリューライン商品であり100円である。製造はもちろん「ホテイフーズコーポレーション」であり国内工場での製造。いつでも気軽に買うことが出来るのが嬉しい。
但し内容総量は60gである。スーパーで買う90gと比較すると3分の2の容量なので、ここはもう一つ買っとくかと旨辛味や塩味にも手が伸びる時が多い。いや、ここはたれ味を買い占めるべきか、でも今度の休みにスーパーで90gを買ってくるか...。そのどうでもいい一人作戦を100ロー内で立てていくのだ。
ちらっとさんまの蒲焼の缶詰をみる。実はさんまの蒲焼に心揺らぐ時もある。ただこれが100円では買えないのだ。もう私は100円のレベルではないのよ、とツンとしているさんまの蒲焼を横目で見ながら、腐れ縁のやきとりのたれ味をかごに入れる。オレはお前がいてくれればいいよ、と。
やきとりの缶詰を晩酌でつまむと決めたときは日本酒を燗して飲むことが多い。風味豊かなぬる燗の日本酒がやきとりの旨味とよく合い、日本酒の優しさと焼き鳥のタレが口の中で絡まってくる。その瞬間実にホッとする。
今回は皿に移して少しだけチンしてからつまんだ。これがうまい、実にホッとする。こんなにも落ちついた時間を過ごせるのも燗酒とやきとり缶だからである。実はここまでずっと「たれ味90g」と書いておきながら、この時はなんと塩味で75gである。なぜだ。
このホテイのやきとりの缶詰には「たれ味 G7号 内容総量260g」という巨大な缶詰も存在する。なかなか見つける事はできないが、260gのたれ味...想像するだけで常軌を逸した、いや、いい意味で規格外の晩酌になる予感もする。まずは発売50周年記念ロゴ入りの「やきとり缶」を入手し、内容総量260gの巨大たれ味缶も探してみたい。その時はまた燗酒である。
