今年はジャズのアルバムを100枚聴くぞと思った
音楽なんてその日の気分で聴きたいものを聴けばいいのだけど、人は苦手なもの、苦手と感じているものに敢えてキャンペーンをはることで、それがいつの間にか好きになっていくことがある。一番身近なのが食べ物や飲み物。今まで好きじゃなかったもの、食わず嫌いだったものが、あるきっかけで好きになっていったことは多い。時代小説やSF映画もその部類かもしれない。
子供のころ納豆が食卓に出てこなかったのでずっと食べずにいたが、大人になって一人納豆キャンペーンをはったら好きになった。トマトジュースもそうだ。あの塩味の赤いジュースに対して一人キャンペーンをはったら大好きになった。
食べ物と音楽とは異なるかもしれないが、音楽で言うと昨年は今まで聴くことがなかった細野晴臣を聴き続けた。こんなにも素晴らしい音楽だったのかと何枚も何枚もアルバムを聴き続け、それぞれのアルバムすべてに新しい発見があった。これもSpotifyやAmazon Unlimitedといったサブスク時代の恩恵であり、新しい音楽との出会い、そして発見、それも何枚も何枚も掘り下げて聴くことはCD時代では難しかった。
そして今年はジャズの名盤100枚をそれぞれ10回以上聴く方針を立てた。なぜ今なのかというと、思いついた目標をすぐ実行に移していかないと、もう一生できない年齢になってしまったことが大きい。若いころは老後に、老後に、と気楽に先延ばしにしてきたが、その老後という実態が目の前に迫ってくるともう今すぐやるしかないのだ。
名盤1枚につき10回聴くと言う数字が適当なのかは分からないが、CDの時は何回も繰り返し聴いてきた。1~2回聴いただけだと何が何だか分からないまま終わることが多く、3~4回目でなんとなく記憶に残っていく。5〜6回目でリズムを刻み、7~8回目でパーソネルを記憶し、来るぞ、来るぞとソロが楽しみになる。9回目でもう知ったような顔になり、10回目で「もう耳タコだよ」と誰もいないのにつぶやく。この過程を経てアルバム1枚を聴いたことになるような気がするのだ。
そして聴いている途中からこの目標のために無理やり聴いているという意識が無くなっていく。昨日聴いたアルバムを今日も聴きたくなる。そして聴くと安心する。あーいいな、と思う。でも10回を超えると次何にしようかな、という感じになっていく。
1年間でアルバム100枚をそれぞれ10回聴くとなると1000回、つまり1日なんらかのアルバム3枚を継続して聴き続けていく必要がある。それも1日も休まずに聴かなければいけない。通勤時間がそれなりにかかるため、行き2枚帰り2枚を聴いていくとして、これはかなりハードなことなのかもしれない。でも目標は高い方がいい。高い目標も低い目標も日々の活動にそれほどの違いはないのだ。
100枚のアルバムに関しては、まず「人生が変わる55のジャズ名盤入門」鈴木良雄(著)を定本として、他のジャズ名盤ガイドブックを参考に「聴きたい」「聴いてみたい」と思ったひらめきを大切にして選んでいきたい。既に10回聴くことをクリアしているものもあるが、リスト化してみるとなんだか楽しみが増してくる。
ジャズの名盤100枚を聴くリスト
- Kind Of Blue / Miles Davis
- My Funny Valentine / Miles Davis
- Round About Midnight / Miles Davis
- Four & More / Miles Davis
- Sketches Of Spain / Miles Davis
- Ballads / John Coltrane
- Blue Train / John Coltrane
- My Favorite Things / John Coltrane
- Waltz For Debby / Bill Evans
- Portrait In Jazz / Bill Evans
- Undercurrent / Bill Evans/Jim Hall
- Affinity / Bill Evans/Toots Thielemans
- Maiden Voyage / Herbie Hancock
- Speak Like A Child / Herbie Hancock
- Head Hunters / Herbie Hancock
- Return To Forever / Chick Corea
- Now He Sings, Now He Sobs / Chick Corea
- Saxophone Colossus / Sonny Rollins
- A Night At The "Village Vanguard" / Sonny Rollins
- Song For My Father / Horace Silver
- Doin' the Thing / Horace Silver
- Kelly Blue / Wynton Kelly
- Smokin' At The Half Note / Wynton Kelly/Wes Montgomery
- The Incredible Jazz Guitar Of Wes Montgomery / Wes Montgomery
- Somethin' Else / Cannonball Adderley
- Cool Struttin' / Sonny Clark
- Moanin' / Art Blakey & The Jazz Messengers
- A Night At Birdland Vol.1,2 / Art Blakey Quintet
- Groovy / Red Garland
- Overseas / Tommy Flanagan
- We Get Requests / Oscar Peterson
- Time Out / Dave Brubeck
- Django / MJQ
- Art Pepper Meets The Rhythm Section / Art Pepper
- Chet Baker Sings / Chet Baker
- The Sidewinder / Lee Morgan
- Getz/Gilberto / Stan Getz /João Gilberto
- Sweet Rain / Stan Getz
- The Blues and The Abstract Truth / Oliver Nelson
- But Not For Me / Ahmad Jamal
- Facing You / Keith Jarrett
- Clifford Brown with Strings / Clifford Brown
- The Scene Changes / Bud Powell
- Pithecanthropus Erectus / Charles Mingus
- Blues-ette / Curtis Fuller
- Night Dreamer / Wayne Shorter
- Basie In London / Count Basie
- We Three / Roy Haynes/Phineas Newborn/Paul Chambers
- Left Alone / Mal Waldron
- Stardust / Lionel Hampton
- Solo Monk / Thelonious Monk
- Eric Dolphy At The Five Spot Vol.1,2 / Eric Dolphy
- Page One / Joe Henderson
- Forest Flower / Charles Lloyd
- Amoroso / João Gilberto
- Quiet Kenny / Kenny Dorham
- Here Comes Louis Smith / Louis Smith
- Magnificent Thad Jones / Thad Jones
- John Jenkins with Kenny Burrell / John Jenkins
- Hank Mobley / Hank Mobley
これで60枚。あと40枚を選んでいくのがとても楽しみでならない。でも1枚を10回聴いたって自動でカウントしてくれるのだろうか。以前はiTunesをiPodと同期して再生回数を確認することが出来たが、SpotifyやAmazon Unlimitedだと今何回目の再生ってわかるのだろうか。これが出来ないとなると、月に4~5枚選んでその月はその4~5枚を聴き続けるという感じでもいいのかもしれない。
この1年、なんとかジャズの名盤100枚をそれぞれ10回以上聴き続けて、今年の年末にはジャズを語りたがるウザいおっさんになっていたい。
今週のお題「2020年の抱負」