50年前のSFベスト20
以前「本の雑誌」の堀井憲一朗さんのコラムの中で「50年前のSFベスト20」というランキングが掲載されていた。50年前ってなんだか相当昔のような気もするが、1970年代って考えると最近のような、昔のような、結構親しみやすい年代という感じもする。でもやっぱりかなり前のSFベスト20なのである。その企画では小松左京、筒井康隆、手塚治虫、藤子不二雄らの著名人それぞれがSFベスト10を投票したようで、その集計結果が以下である。
50年前のSFベスト20
1位 幼年期の終り アーサー・C・クラーク
2位 火星年代記 レイ・ブラッドベリ
3位 ソラリスの陽のもとに スタニスワフ・レム
3位 夏への扉 ロバート・A・ハインライン
5位 虎よ、虎よ！ アルフレッド・ベスター
6位 宇宙の眼 フィリップ・K・ディック
7位 人間の手がまだ触れない ロバート・シェクリイ
7位 宇宙船ビーグル号 A.E.ヴァン・ヴォクト
7位 都市 クリフォード D・シマック
10位 盗まれた街 ジャック・フィニイ
10位 火星人ゴーホーム フレドリック・ブラウン
10位 トリフィドの日 ジョン・ウィンダム
10位 結晶世界 J・G・バラード
14位 発狂した宇宙 フレドリック・ブラウン
14位 人間以上 シオドア・スタージョン
14位 鋼鉄都市 アイザック・アシモフ
17位 地球の長い午後 ブライアン・W・オールディス
17位 アンドロメダ病原体 マイケル・クライトン
19位 宇宙戦争 H・G・ウェルズ
20位 重力の使命 ハル・クレメント
20位 山椒魚戦争 カレル・チャペック
20位 アンドロメダ星雲 イワン・エフレーモフ
20位 海底牧場 アーサー・C・クラーク
20位 われら エヴゲーニイ・ザミャーチン
20位 われはロボット アイザック・アシモフ
同点が多すぎる感じもするが、50年前のSFベスト20はこういう眺めなのだ。普段ミステリ中心に読んでいるため、何もかもが古典、古典、という感じがして、なかなか怖めのベスト20という印象が強い。
ハヤカワのKindleセールで買う
＜既にセールは終了しています＞
そこでいま開催中の電子書籍「早川書房海外ＳＦ作品必読フェア」で、このベスト20の書籍をKindleで買えるだけ買っておこうと思ったのである。まずは1位から。
まずベスト3は今回のセール対象であったので、当たり前のように購入した。しかし358円とか367円は安い。なお「ソラリス」は2015年の沼野充義訳。
3位 ハインラインの「夏への扉」6位「宇宙の眼」は今回セール対象である。5位「虎よ、虎よ！」は電子化されていないようだが、文庫本で入手可能。そして7位「人間の手がまだ触れない」も電子化されておらず、且つ文庫本でも手に入らない。
7位「宇宙船ビーグル号」は何故かKindle Unlimitedで読めるようだが、文庫本は創元SF文庫から入手可能。同じく7位クリフォード・ D・シマックの「都市」も電子化なしで、紙の本も手に入らない。よって古書。
そして10位「盗まれた街」10位「火星人ゴーホーム」も手に入らない。一体どうなっているのだろうか。古書で探すしかない。
10位「トリフィドの日」はKindle Unlimitedで読むことができる。10位バラードの「結晶世界」は創元SF文庫で入手可能。14位「発狂した宇宙」14位スタージョンの「人間以上」共に古書のみ。
14位の「鋼鉄都市」は今回セール対象。アイザック・アシモフは『ファウンデーション』を含む8作品がセール対象。17位「地球の長い午後」は文庫で入手可。
17位「アンドロメダ病原体」はKindleで入手可能だがセール対象ではなさそう。19位「宇宙戦争」はKindle Unlimitedと角川からKindleで安く入手可能。20位「重力の使命」は「重力への挑戦」として創元SF文庫で入手可能、20位「山椒魚戦争」は岩波文庫で入手可。20位「アンドロメダ星雲」はもうよく分からない。
20位「海底牧場」はセール対象。20位「われら」は光文社古典新訳文庫と集英社文庫で入手可。20位アシモフの「われはロボット」はもちろんセール対象。
Kindleで読み、古書を探す
ということで50年前のSFベスト20から、今回8作品がセール対象。これは多いとみるか少ないとみるか。いや、SFの古典が今でも売られ続けており、中でも8作品がKindleのセールで読むことが出来るなんて結構すごいことのような気がしてきた。
もちろん電子化はおろか紙の本も入手困難で古書しか手に入らない本も多いのだけど、それはそれで古書を探す楽しみもあるし、手に入らないという事は今の時代だと売れないと出版社が判断したのだろうと考えると、まぁそうなのかなと思う。
