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感じたこと、考えたこと

湯豆腐の美味しさは豆腐の切り方で変わるのか

 この日は「御影郷 福寿(みかげごう ふくじゅ)」へ。

 御影郷とは、神戸市東灘区、御影地区の酒蔵地帯を指す名称で、福寿は白鶴、菊正宗、剣菱と並んでその地で醸されている銘柄の一つ。その福寿の直営店が大阪駅前第1ビル地下2階に店舗を構え、連日連夜賑わいを見せている。予約なしだと、なかなか入ることができない人気店だが、この日はスッとカウンターに座ることができた。まずは瓶ビール、マーボーピーマン、そして名物のだし巻き玉子を注文する。

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 久しぶりの訪問なので壁に掛けられている白板メニューや、手元のグランドメニューをじっくりとチェックする。以前は福寿の(純米ではない)吟醸という酒があったが、今は純米吟醸だけとなり生産量に限りがあるとのこと。福寿と言えば純米吟醸がノーベル賞公式行事に提供されて以来一気に有名になったが、今でもその純米吟醸は人気があるのだろう。確かに旨い。

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 マーボーピーマンは半分に切ったピーマンに、豆腐をくずした麻婆豆腐が乗っているだけだが、妙にビールに合う。この福寿という店は、食べたくなるものがたくさんあり、毎回悩みに悩む。出来ればもう少し頻度多めで通わないといけないのだが、一人飲みの時は予約しないため、結果なかなか入ることが出来ない。

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 そして名物だし巻き玉子が登場する。熱々でふわふわという単純な感想しか思いつかないくらい、このだし巻き玉子のクオリティにただ没頭する。今日は一人なので独占できるが、二人で来ても何人で来ても、人数分頂いた方が良いと断言する。醤油、大根おろし、そして紅ショウガの加減具合が人それぞれだし、これは気を遣わず確実に独占すべき、だし巻き玉子事案である。

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 酒はしぼりたて純米生原酒。そしてふわふわだし巻き玉子を独り占めするシアワセな時間がとても心地よい。さて、そろそろおでんにしようかとも思ったが、「湯豆腐」という文字が目に入った。その瞬間、完全に湯豆腐モードにスイッチする。

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 湯豆腐が運ばれてくる。具だくさんで豆腐が見えない。とろろ昆布が見える。春菊が見える。えのきが見える。豆腐がどうなっているのかを確認するため、具を端に寄せたが、もの凄く小さく切られている豆腐が登場して驚いた。豆腐自体を切るのは仕方ないとしても、せめて4~5cm角がいいのではないだろうか。

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 北大路魯山人が「湯豆腐のやり方」の中でこう書いている。

三寸の鍋なら上一寸を余して水を入れ、およそ一寸角くらいに切った豆腐をこわさないようにそっと入れる。杉箸ではさんでそっと入れる。それを火力の強い火の上にかけ、鍋の蓋をしておく。約五分位で、火さえ強ければ、初めてぽっと煮え上がる。

一寸という事は3cm角ぐらいか。それでも小さい感じがするものの、食べやすいようにと最初から小さく切る訳ではないようだ。魯山人はこう続ける。

これを煮すぎて豆腐がしまって来たり、豆腐と豆腐がくっついたり、鬆がたって来たりしてはもううまくはない。
だから最初から一時に鍋の中に豆腐をたくさん入れることはよくない。酒の肴にするような場合は、三切れか四切れずつ食べては入れ、食べては入れ、食べるほどに少しずつ持って来ることを心がけなくてはならん。

食べやすさというよりも、一寸角の豆腐を三切れか四切れずつ食べては入れ、食べては入れた方が豆腐がしまってきたり、くっついたり、鬆(す)がたってしまうトラブルが減るという事なのか、と理解した。でもこの店での豆腐は小さすぎる。ただ魯山人先生は「美味い豆腐の話」という中で、

美味い湯豆腐を食べようとするには、なんといっても豆腐のいいのを選ぶことが一番大切である。いかに薬味、醤油を吟味してかかっても、豆腐が不味ければ問題にならない。

との理論であり、まぁ確かに豆腐か、という結論にたどり着く。家での湯豆腐は普通100円しない豆腐しか買わないので、今度もう少しいい豆腐を選んで湯豆腐を楽しみたい。ここ福寿での豆腐は美味かった。でも切り方は謎のまま。

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 ちなみに新梅田食道街の「大阪屋」の湯豆腐は一切れであり、特に小さく切られてはいない。これが実にいい。300円の芋焼酎を飲みながらの湯豆腐は最高だ。ただとろろ昆布が必ずあるのは何故だ。

 

*以前のブログから

rocketboy-miya.hatenablog.com

まいにち湯豆腐

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